添田院長ブログ Vol.92 「お骨拾い」
長患いすることもなく息をひきとり、大往生だったと思います。
ただ、多くの肉親を亡くしたかたと同じく
もっと、生きているあいだに、ああしてあげればよかった、
こうしてあげればよかったなどと、後悔ばかり沸き起こり
自責の念でいっぱいになっていました。
お通夜から、葬式と慌ただしく時間が過ぎ、斎場でお骨拾いをしていた時のことです
斎場の係の人から、「お骨を下の方から、拾い壷に納めてください」と声をかけられ
家族が代わる代わる、足の骨を骨壺に納めてゆき、最後に
頭の部分の骨を納めていたときのことです
娘が「あれ、おじいちゃんの顎に黒いものくっついているよ」と声を上げました。
よく見ると、歯ではない、黒っぽい金属のボルト状のものが顎にしっかりと残っていました。
このボルト状のものは、実は私が24年前に父の顎に行ったインプラントでした。
父の顎に残っていたインプラント。
邪魔にならず、父の体の一部として
最後までお役にたっていたのだなと考えると
何だか、心にこびり付いた自責の念が消えていき
父が微笑みかけているような気がしました。
インプラント治療をはじめて、25年になりますが、治療に望む度に、辛い思いをして
治療を受けていただいた患者さんにできるだけ長く、お役に立ってほしいと願っています。