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PostHeaderIcon 院長ブログ Vol.33 「般若」

 

————————————————————–院長ブログ

『般若』

   

  「だから、もう時間もないし子供が好きな服を着たいて言うんだったら

    好きなようにさせてやれば、 君も、少し・・・」

私の奥歯にものが挟まった言い方にたいし、歯に衣をきせぬ言い方で

   「君も、少し・・・、何よ、はっきり言いなさいよ!

    だいたい、あなたが好きな服着ていけば良いなんて言うからいけないのよ、

    発表会に、よれよれのシャツに、ジーパン、カッコ悪い、ご近所の人が見に来るのよ、

    せっかく私がこの日のために服を買ってるのに・・・あなたは、いつものみっともない

    服でも関係ないけど、そんな服で会にでるのなら、私は行かない!」

  「・・・・・・」

妻の剣幕と、怒りの形相に

私は、ほうほうのていでその場から退散した。

娘が発表会に着ていく服で、妻と娘が揉めていたところ

何とか、平和的に解決しようとした私の言葉が、仇となり

妻の気持ちを逆なでし、彼女の表情が俄かに険しくなり

般若のように変化した。

こういう状況の時は『あら恐ろしや 般若顔』と思って退散し

嵐が過ぎるまで貝のように口を閉ざすのが一番なのです。

*弁解ではありませんが、妻が般若顔に変化するのは、1年に1度あるかないかで

いつもは柔和な、優しい観音様のようなお顔です、ほんと、ほんと。

     

ところで、般若というと、鬼女の能面を思い浮かべられかたが多いと思います。

般若とは、般若心教を(正式には般若波羅蜜多心経といいます)

ご存知の皆さんはお分かりだと思いますが、仏教用語でサンスクリット語の

プラジャミー(プラジャニーともいう)の漢語訳で「智慧」を現すそうです。

この般若という言葉が、鬼女の顔になったかというと、一説には、昔、ある能面師の

男がいて、すぐれた能面を作れず悩んでいました。

男は、良い作品を作れることを願い、自分の名前を「智慧」にあやかり般若坊と名乗りました。

それを契機に、男はすばらしい鬼女の能面を作ることができるようになり、鬼女の面といえば、

般若坊とまでいわれようになり、その名前にちなみ、鬼女の面が、般若の面と

言われるようになったそうです。

葛飾北斎画『北斎漫画』より          「葵上」の題で描かれた御息所 

また、「源氏物語」の葵の上(光源氏の最初の

正妻)が六条御息所(光源氏の愛人)の嫉妬心に

悩まされ、その生霊(生きた人の怨念)にとり

つかれた際、般若教を唱え、その生霊を退治

したことから、怨念で、鬼女のように恐ろしい

顔のことを般若というようになったとも云われ

ています。

     

さて、本来の般若「智慧」は、日常使われる頭の

はたらきを示す知恵という言葉と違って、お釈迦さまのように、深い真理を体得し悟りを

開いた方の智慧を意味するそうです。

般若湯(お酒のこと)をちびちび飲みながら、時に、妻の般若顔におびえているような

私には、とても般若=仏の智慧の境地に達することなど不可能です。

ふと、横を見ると、いつの間にか妻が私の横に・・・

  「あなた、またブログ書いてるの? 暇な人 今度はどんなこと書いてるの?」

  「いやいや、大したこと書いてない・・・・」

  「これって、私のこと・・・・・・」

俄かに、妻の表情が険しくなった。

私  「明日、朝から手術があるから、もう寝ます」

『あら、恐ろしや 般若・・・・・・・』

医療法人 添田歯科診療所 院長 添田義博        

※出典: Wikipedia 六条御息所            

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