ソエダ歯科HP
アーカイブ

PostHeaderIcon 添田院長ブログ Vol.75 「輪廻」

 

——————————————————————院長ブログ

「輪廻」

「輪廻」という言葉、一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか?

この「輪廻」、仏教の経典やヴェーダにある言葉で、生き物が、無限に

生まれ変わりを繰り返すことを意味します。

生まれ変わりを繰り返すことが、車輪が廻って軌跡を描き元に戻るようすに

喩えられ、車輪が廻るいう意味の「輪廻」という漢字で表わされたようです。

この「輪廻」という言葉を聞くと、昔に読んだ、お釈迦様の物語を思い出します。

✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇

お釈迦様のいとこに、ナンダという青年がいました。

ナンダは、結婚したばかりで、プンダリーカという、国中の男たちが

憧れるほどの美しい妻がいました。

お釈迦様は、ナンダを修業の道に進むように

何度か説得をしますが、美しい妻への思いが強く

修業の道に入るフンギリがつきません。

そこで、ある日、お釈迦様は、ナンダのとこにやってきて

「ナンダよ、これから私と一緒に、おもしろいところに行かないか?」

と誘います。

「はい、どこでもお供します」

お釈迦様は、神通力を使い、ナンダを異次元世界へと連れて行きました。

ナンダとお釈迦様は、雲の上から、下界を見下ろしていました。

下界では、山火事が起こっているようで、燃えかる森の中、一匹の雌ザルが

鳴き叫んでいます。(雪山で、乞食女を見せたという説もあります)

お釈迦様はナンダに問いかけます

「ナンダよ、あの雌ザルと、お前の妻、プンダリーカでは、どちらが美しい?」

ナンダは、そんなこと聞くまでもないという調子で、

「それは、プンダリーカのほうが一万倍も美しいですよ」

「そうか、おまえは、神の国にいってみたいと思わないか?」

「いけるものなら、ぜひ、いってみたいと思います」

お釈迦様は、再び、神通力でナンダを神の世界へ導きました。

ナンダとお釈迦様は、神々国の丘の上に立っていました。そこからは、神々しい光と、

芳しい匂いに包まれた、たくさんの宮殿のような屋敷が建っているのが見えました。

それぞれの屋敷には、人間界とは比べものにならないような、美しい神と女神がカップルで

住んでいて、仲睦ましそうに暮らしているではありませんか。

ただ、一つの屋敷だけは女神だけしかおらず、その女神は、さびしそうにしていました。

「ナンダよ、あの女神と、おまえのプンダリーカでは、どちらが美しいかな?」

「残念ながら、あの女神と私の妻では、先程の雌ザルと妻を比べるようなもので

女神のほうが一万倍美しいです。しかし何故あの女神だけ一人で暮らしているのですか?」

「あの女神は、おまえが修業の道に入り、人間としての寿命が終わり

その、修業おかげで、神の国に生まれ変わってくるのを待っているのだ」

ナンダは、お釈迦様の神通力で見た、神の国で自分を待っている女神に、

強く心が魅かれ、神の国へ生まれ変わるため、愛妻プンダリーカと別れて、

お釈迦様のもと、精舎へきて、修業の道へ入りました。

お釈迦様は、ナンダ以外の弟子たちを集め

「おまえたち、弟弟子のナンダがこれから、修業し始めるが、残念ながら、ナンダの修業の

目的は、おまえたちとは違う。ナンダは、神の国へ生まれ、女神と一緒になりたいために

修業するようだ、私はナンダに真の目的に目覚めさせてやりたいと思う

おまえたちは、これからナンダに何を聞かれても無視をしてほしい」

神の国に生まれ変わるため、喜んで修業の道に入ったナンダでしたが

兄弟子たちは、ナンダを無視し、彼は精舎の中で孤立してしまいます。

思い悩んだ、ナンダは、兄弟子のアナンダに訴えます

「一生懸命修業に励んでいるのに、どうして兄弟子たちは

私を無視し続けるのですか?私が何か、悪いことをしたというのですか?」

アナンダは「ナンダよ、おまえの修業の目的は卑しすぎる」

あるとき、ひとりで精舎の片隅で修業しているナンダのところへ

お釈迦様がやってきました。

「どうだ、ナンダ、ここでの生活も慣れてきたか?」

「それが、どういうわけか、兄弟子たちが、私と関わることを避けているように感じます」

「そうか、ナンダよ、もう一度、私と一緒に、おもしろいところへ行かないか?

きっと修業に役立つと思う」

「はい、ぜひともお願いいたします」

お釈迦様は、神通力を使い、ナンダを地獄へ連れて行きます。

ナンダとお釈迦様は、血と膿の煮えたぎる池の畔に立っていました。

多くの人の叫び声や呻き声が、嵐が吹き荒れるような音となって

聞こえ、吐き気を催すような悪臭が鼻をつきます。

ナンダが、池の中をみると、たくさんの亡者たちが溺れそうになっていて

あまりの苦しみから、池から這い上がろうとしています。

その亡者たちを、地獄の獄卒、鬼たちが金棒で叩きのめしている光景が見えました。

ふと、後ろを振り返ると、たくさんの大釜が並んでいて、一つの釜に一人づつ亡者が

入っていて、グツグツと煮られている光景が目に入りました。

釜の横には、鬼が、亡者が逃げ出てこないように見張っています。

不思議なことに、一つだけ空の釜があり、その横で、鬼が退屈そうにしています。

ナンダは、その鬼に、どうしてこの釜だけ、空なのか聞いてみました。

「この釜はな、神の国に生まれた、ナンダという男が、その寿命がつき

この地獄に堕ちてきて、この釜で茹でられることになっているのさ」

「輪廻」クリックして大きい画像で見て下さい。絵の詳細は下記参照。

それを聞いたナンダは、結局のところ

たとえ神の国であろうと、一時は

幸福に酔いしれることができるかもしれないが

迷いの世界で、そこでの寿命がつきれば

地獄、餓鬼、動物など迷いの世界を

生まれ変わりながら永遠に、輪廻転生を

繰り返す運命にあることが、わかりました。

そして心を入れかえ、悟りを開き、輪廻の

世界から抜け出し、衆生を苦しみの世界から

救うため、他の修業者たちと同じように

修業を始め、悟りを得ることができたそうです。

✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇✇

私には、仏教やバラモン教の教えにあるように、輪廻転生があるかどうかは分かりません。

もし輪廻転生があるとしても、お釈迦様や、聖人のように悟りを開き、迷いの世界を

輪廻転生することから抜け出ることなどは、できないと思います。

ただ、もし、本当に輪廻転生があるのなら

また、生まれ変わって、歯科医師として、歯や、歯周病、入歯などお口の状態で

悩んでいる患者さんのお口の健康の手助けがしたいと思います。

医療法人 添田歯科診療所 院長 添田義博

※解説

「輪廻」(六道輪廻)を表わす仏教の絵です。

中央に大きな輪があり、地獄、餓鬼、動物、人、阿修羅、神の六つの

世界に分かれていて車輪のように見えます。

人だけが、唯一、悟りを開き、迷いの世界である輪廻から抜け出ることが

できると云われています

Comments are closed.