添田院長ブログ Vol.66 「ぬれ落ち葉」
———————————————————————-院長ブログ
「ぬれ落ち葉」
毎日、妻と近くの公園を散歩しますが(ブログ虫の声を見てね)
季節が、秋から冬へと移り変わりつつあることを感じます。
つい2、3週間前までは、聞こえていた虫の声も
鳴りを潜め、枯葉がハラハラと舞い落ち、枝に残っている
葉っぱの数も疎らです。
散歩道は、落ち葉で覆い隠され、黄色や褐色の絨毯を
敷きつめたような感じで、歩くたびに落ち葉がカサカサと
音をたてます。
落ち葉の中を、歩きながら「秋が終わり、冬がやって来たな~、
そうこうしている間にクリスマ ス、大晦日、1年経つの早いよな~」と
妻に話しかけると、こちらの話しかけにも上の空で、妻のスニーカーにへばりついた
落ち葉か何かを剥がそうと、強く足踏みしたり、靴を地面に擦りつけたりしています。
「ん?落ち葉、ぬれ落ち葉、昨日の雨でぬれている落ち葉が靴に
へばりついて離れない、気持ち悪い、本当にもう~」
その光景をみて昔、流行語となった「ぬれ落ち葉(族)」と
いう言葉が思い浮かびました。
(今でいうなら孤舟族ですか。渡辺淳一先生の「孤舟族」という
10万部以上売れている最新作からでた言葉です)
この、「ぬれ落ち葉(族)」定年退職した夫のことで、
仕事一途だった夫が、家では邪魔な存在であることを表現した言葉だそうです。
家でやることのない定年後の夫が、妻が出かけようとすると
「わしもついて行く」といって、どこにでもへばりついてこようとする姿が、
払っても、払っても、なかなか落ちないぬれ落ち葉のようだという、ある主婦の発言を
評論家の樋口恵子さんが紹介し、それが広がり1989年の流行語大賞にまで選ばれました。
アラフィーの男の立場からすると、この「ぬれ落ち葉」という言葉は、何となく
「人生の晩秋をむかえた男の悲哀」を感じさます。
一生懸命、人生の春、夏、秋と家族のため働いてきて、冬(定年後)を迎え、
自分の拠り所となる仕事がなくなり、毎日どうして過ごせばいいのかわからない。
一番の理解者だと思われた妻も、気づいてみれば、大きな溝ができていて・・・・・
(もちろん夫を持つ女性の立場からすると、そうなって当然という原因があるでしょうが)
私に関して言えば、妻とも一緒に散歩していますので、今のところ、ぬれ落ち葉のように
鬱陶しがられているような気配もなさそうです(本当のところは分かりませんが)
「定年を過ぎた年になっても妻から『ぬれ落ち葉』と
鬱陶しがられないように、いつまでも健康で、患者さんに、
喜ばれる治療をしないといけないな」と木枯らしの吹く中、
落ち葉を踏みしめながら、ぬれ落ち葉を払いのけようと
足踏みしている、妻をみて思うのでありました。
医療法人 添田歯科診療所 院長 添田義博