院長ブログ Vol.56 「 〇 ▽ ☐ X ☺」
——————————————————————院長ブログ
「○ ▽ □ × ☺」
歯科医:「では今日は、前回に型をとった入れ歯のフレームができているので、
咬み合わせの高さを決めますね。
はい、そっと咬んで下さい。唾を飲み込んで、そのままにしてて下さい。
はい、咬み合わせの高さが決まりましたので、30~40分
お時間を頂ける様でしたら、前の歯を並べてみます。
洋服の仮縫いのような行程ですが、歯の大きさや色・形で
特にご希望はありますか?」
患者様:「わかりませんわ…先生にお任せしますから、いいようにして下さい。」
う~ん。。。そう言われると迷ってしまうのである。
いろいろな、サイズ・形・色の人工歯が入ったケースを持ってきて
どれが似合うかな?わからないな。
わからない時は『♪どれにしようかな、神様のいう通りアップップのプ♪』。。。
いやいや、決してそんな でたらめな選び方はしません。
患者さん1人1人の顔に合った人工の歯を選びます。
一般的に人の前歯(中切歯)は、顔の形に相似形と言われています。
基本的に人の顔の形は、○ ▽ □の3つに分類する事ができます。
(もちろん4つや5つ,7つに分類する方法など様々な分類方法があります)
〇:丸顔の人は、丸い形の歯(Ovoid卵型)
☐:四角い顔の人は、四角い形の歯(Square方型)
▽:三角形の顔の人は、三角形の歯(Tapering 尖型)
を選び、顎の大きさや患者さんの希望なども考慮して歯の
大きさや色も決めます。
ケースによっては、若い時の笑って歯が見えている状態の写真を
こうして使用する人工歯が決まれば、技工士さんに患者さんの
要望を伝えて、義歯の前歯を排列(並べること)してもらいます。
排列の出来上がった義歯を患者さんの口の中に入れて、
色や形・歯の出具合・見え方・歯の並び、唇や頬の膨らみ
具合などを鏡で見て頂き、再びご希望を聞いて手直しが
必要であればすぐに手直しをします。
この工程では人工歯は、ワックス(ろうそくのロウと似たような材質)
の上に並べられていて熱を少し加えると、出したり引っこめたり
自由に動かす事が可能です。
私の診療所では、この工程で特に時間をかけます。
1時間、長い場合は2時間位。回数も2~3回かける事も
あります。多い場合には5・6回という事も。
何度も手直しを加え、患者さんが納得して気に入って
頂けるまで修正を繰り返します。
時には人工歯を並べての試適(仮縫いの工程)で
OKがでて、完成した後からでも、患者さんの希望で歯を
並べ替える事もあります。
これだけ時間をかけるのは、患者さんに気に入って頂けない義歯は×であり、
義歯が単なる人工物ではなく、身体の一部となり機能的にも審美的にも満足して
使用して頂きたいと考えるからです。
「歯は口元を変え、口元は顔を変え、顔は心を変える 」
これは20数年前 大学を卒業して間もない頃、義歯の大家の先生に
教えて頂いた言葉です。
患者さんの人工歯を選び歯を並べる時、この大家の言葉を思い出し
「たとえ1本の歯を選ぶにも、いい加減な気持ちで選んではいけないな」と
肝に銘じています。
「ブログを読んだ!」と受付でおっしゃって頂くと、
先着30名様に、オリジナル入れ歯 携帯ストラップを
差し上げます。
医療法人 ソエダ歯科診療所 院長 添田義博
※参考画像:「臨床総義歯学」河邊清治著