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PostHeaderIcon 院長ブログ Vol.37 「カビ」

  

———————————————————————-院長ブログ 

「カビ」

    

梅雨が明け、暑い夏がやってきました。

日曜日に家でゆっくり寛いでいると、妻からいつもより

反オクターブ高い優しい声で「ちょっと、お願いがあるんだけど」と

お風呂場の方から声がかかりました。

こういう時は、いつも何かあることが多いので、何となく日曜の

寛ぎの時間が破られる予感を感じながら風呂場へ。

妻 「お風呂の壁・天井・床を見て! 黒いカビがいっぱい広がって・・・

   少し前に掃除したのに、またカビが生えてきて・・・

   あなた、私より力があるし、7暇だったらゴシゴシとカビ退治

   してもらえないかな?」

そこにはカビとり用の洗剤・ゴム手袋・タワシ・使い古しの歯ブラシ

・雑巾などの掃除道具一式がすでに用意してありました。

私は、「はは、仰せのとおり」と1時間ぐらい汗だくになりながら、こちらの迷惑かまわず、

はびこった図々しいカビたちと格闘しました。

天井・壁・床を擦り続けて約1時間、ようやく本来の風呂場らしくなり

カビとの戦いから解放されました。

   

ところで迷惑千万なカビ達ではありますが、我々の生活と良きにつけ悪しきにつけ

カビとは切っても切れない深い繋がりがあります。

まず良い面として 醤油・味噌・日本酒・焼酎などは、コウジカビを穀物で培養し

繁殖させた麹を使って醸造をおこなっています。

またロックフォール、ゴルゴンゾーラなどのチーズは青カビで造られ

カマンベール、ブリーなどは、白カビを使って造られます。

(「う~ん、また これがワインに合うんだな」そんな事はどうでもいいとして)

そして医療の分野では、青カビがブドウ 球菌の

Alexander Fleming

増殖を抑える事を1928年 フレミングにより発見されました。

青カビの分泌物から世界で最初の抗生物質ペニシリンを

発明し、梅毒・淋病・破傷風などの特効薬として画期的な

成果を上げて以来、様々な抗生物質が開発され世界中に

普及しています。

悪い面として、食品・衣類・家財などの保存状態が良くないと

カビが生えてしまい、それらをダメにしてしまう事は、皆さんもご存知だと思います。

また、カビは動物や人間にも寄生しますが一般的には、人に寄生する

カビの仲間は細菌のように多くはないそうです。

その中で最もよく知られているのは、白癬菌でしょう。

その場所によって白癬菌の種類と呼び名が違いますが

一番悪名が高いのは「水虫」で、足に寄生し足白癬菌によって引き起こされます。

その他、股間がかゆくなるインキン「股間白癬菌」

頭がかゆくなり禿げるシラクモ「頭部白癬菌」など身体のいたる所に寄生します。

もちろん、口の中にもカビは寄生します。

私達の口の中には「カンジダ菌」というカビの仲間が常在しています。

カンジダ菌は真菌の一種で、毒性はあまり強くなく、通常 健康な人であれば問題を

起こす事はありません。

しかし、高齢や病気のため身体の免疫機能が低下したり、

易感染宿主(乳幼児などのように免疫力がもともと弱い人)は、

日和見感染症(健康な状態では感染症を起こさないような

病原体が原因で発症する感染症)を引き起こしやすくなります。

カンジダは、この日和見感染症の原因菌の1つなのです。

カンジダによる日和見感染症をカンジダ症と言いますが、

口の中でカンジダが原因で起こるものを「口腔カンジダ症」と言います。

(口腔カンジダ症以外では、性器カンジダ症があります)

その症状としては、口内炎・舌炎や舌痛症・口角のびらん・鵞口瘡などがあります。

特に義歯を使用している方は要注意です。

よく使用される義歯素材レジンの表面は、カンジダ菌が付着しやすく

義歯の内面でカンジダ菌が足がかりとなり、夏場の雑草のごとく増え

バイオフィルム(ブログVol.8バイオフィルムを見てください)ができ、

その上にプラーク(デンチャープラークといいます)が、たくさんたまります。

こうなると、義歯の内面に接している粘膜の部分が、カンジダ菌や

その他の細菌の毒素などの影響で炎症がおき

口内炎などがたくさんできます。(義歯性口内炎といいます)

たかが口内炎ぐらいと思われるかもしれませんが、

要介護者などで嚥下機能(食べ物を正常に飲み込む機能)が

低下した人はほうっておくと、増殖したカンジダ菌や歯周菌など病原性細菌が

肺や消化器に入り込み命にかかわる症状をおこす事もあります。

義歯を使用されている方は、毎日できれば毎食後、まめに義歯を洗浄

される事をお勧めします。

また、調子が良くても半年に1度ぐらいは、義歯の噛み合わせや内面の状態のチェックや

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カンジタ菌検査

義歯の専門的なクリーニングを歯医者さんでして頂く事をお勧めします。

当院でも、患者さんの免疫力の状態をチェックする為に

カンジダ菌の検査を行っています。

我々の業界も年々、日進月歩で新しい治療法やそれに

関する技術が開発されています。

スタッフと共に新しい治療法と技術を取り入れ、さらに磨きをかけて

カビが生えて、賞味期限が切れてしまったような治療法と技術の

歯科医院にならない様にガンバリたいと思います。

医療法人 添田歯科診療所 院長 添田義博

 

鵞口瘡:口の粘膜や舌に白いミルクかすのようなものが付着した状態になる。

     感染者のほとんどが乳幼児です。   

     ファンギゾンシロップを1日3~4回塗ります。

     通常、数日で治りますが、繰り返す場合もあります。

     鵞口瘡になったら、手指や乳頭の清潔や、哺乳びんの消毒に注意が必要です。       

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