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PostHeaderIcon 院長ブログ Vol.17 「サトリとキコリ後日譚」

   

————————————————————-  院長ブログ 

「キコリとサトリ後日譚」

さてその後、サトリを捕えたキコリはどうなったか?

         

キコリは、逃げられないように家の中に頑丈な檻を造り、サトリを檻にいれておいた。

キコリがサトリを捕まえたという噂は、瞬く間に村中に広がり、毎日のように村人たちが

サトリを見せてくれとキコリの家に、集まってきた。

そうこうするうちに、隣村、そのまた隣村と噂が広まりたくさんの人々が、キコリの家に訪れ、

毎日行列ができるありさまである。キコリは、多くの人から今まで誰も捕まえることが

できなかったサトリを捕まえるなんて、なんて素晴しい、いったいどうやって捕まえたのか

教えていただきたい」などと、もちあげられ、チヤホヤされた。

自分のことを、通常の人とは違う特別な人間だと思うようになった。

そうすると、キコリにオゴリ、ウヌボレという妖怪が取り憑きはじめた。

やがて、サトリの噂は山を越え、川を渡り、遠くの町からも更に多くの人々がキコリの家に

訪れるようになった。

キコリは『苦労して捕まえたサトリを何もタダで見せることはない、銭をいただいて当然だ』と

思うようになりお金を取ってサトリを見せるようになった。

木を伐らなくても、毎日、米俵一杯の小判がたまるようになり、キコリは『あくせく木を伐っても

大した銭にならぬ、キコリなどバカらしくてやってられるか』と思うようになった。

そうすると、キコリにナマケという妖怪も取り憑きはじめた。

キコリが、一日中酒など飲んでブラブラして遊んでいてもサトリ見たさに、来る日も来る日も、

行列をなし多くの人々が訪れ、キコリは蔵から溢れるほどの小判がたまった。

それでも、キコリはもっともっと銭が欲しいと思うようになった。

そうすると、キコリにムサボリという妖怪も取り憑くようになった。

キコリは、サトリを連れ大きな町を、見せ物興行を打つようになりサトリの飴、サトリの饅頭、

サトリの絵巻、サトリの匂い袋などなど、サトリ関連グッズなども売り出し、飛ぶように売れた。

ついにサトリの噂は国中に広まり、都の帝(みかど)の耳にも入った。

キコリは、帝にから「サトリを連れて参内せよ」という勅命を受けた。

キコリはキラビヤかなお公家さまのような装束を身につけ、帝のもとに参内し公家や武士しか

もらうことができない官位を授けられ、有頂天になり「おれほどの優れた者は、世界中

さがしてもおらんぞ」と思った。

その途端、檻の中に入れ連れていたサトリが突然消え去りキコリは、鼻が天狗のように高く、

目はギラギラと猛獣のようにひかりだし、面の皮がガサガサで、醜く分厚く膨れ上がり、

腹は真っ黒で背中は、フン反り返りようもないほど反りかえり二目と見れないような

妖怪になってしまった。そして、虚空から再びサトリが現れ、キコリであった妖怪に向かって

「あわれなやつめ、サトリを捕らえたと思ったら手放さないとこういうことになるのだケロケロ」と

言って虚空に消えていったとさ。

おしまい

 

この「キコリとサトリ後日譚」は、数年前に自分の頭の中にとどめていた話で、

全くの創作でこんな話はどこにもありませんし、誠に稚拙な話です。

ただ、わたしが思うのは、何か悟ったと思い、それにこだわったり、自慢したり、

ひけらかし、それを人に押しつけたり、それでお金儲けを目論んだりすると、

鼻持ちならぬ面の皮の厚い人間の姿をした妖怪に変わってしまうよう気がします。

わたしも、日頃、スタッフ、業者さん、患者さん、同業の先生などと接し、

おれは人よりできる、特別だなどという気持ちが芽生えたときは「キコリとサトリ」

そして自作「キコリとサトリ後日譚」を思い出すようにしていますケロケロ。

医療法人 添田歯科診療所 院長 添田義博

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