院長ブログ Vol.3 「カンガルーの歯周病」
————————————————————- 添田院長 ブログ
「カンガルーの歯周病」
大学を出てしばらく、母校の口腔解剖学教室に籍を置かさせていただき
週に一度、研究のお手伝いをさせていただきました。
口腔解剖学とは、簡単に説明すると歯の形態、構造、組織などを研究する学問です。
当時、教室では比較口腔解剖(人間の歯と他の動物の歯の構造などを比較する研究)の研究
に取り組んでいて、研究で使用する動物の口の部分を調達しなければなりませでした。
そこで、新人のわたしは、数か月に一度ホルマリン漬けの哺乳類の頭の標本を、天王寺動物
園に分けて頂きに行くことになったのですが、その当時、お世話になった獣医の先生が
ぼやいていたことを思い出します。
「カンガルーが歯肉炎になって困るんだよね」
ほとんどのカンガルーは、草食性です(中には昆虫、キノコを食べる種もいます)
動物園では野生のカンガルーの餌となる草を輸入し、それだけで彼らの食糧とすると
とても高くそうで、予算の関係でしかたがなく彼らの食べる草にふすまを混ぜているそうです。
先生は、本来、野生のカンガルーにとって存在しない、ふすまが彼らの歯にへばりついて
歯肉炎の原因になっているということを推測され
「本来食べるべきもの以外のものを食べると、何か問題が起るんだよな~」と
呟かれていたことが、強く印象に残っています。
本来食べるべきもの? 我々人間にとってどうなんだろう?
ファーストフード、ポテトチップなどスナック菓子、カップ麵、冷凍食品などなど
わたしの父、祖父の時代にはほとんど存在していなかったものが
街に溢れ、誰でも簡単に口にすることができます。
別にこれらの食品を批判するつもりもないですし、私もたまに口にすることはあります
しかし、これらが本来人が食べるべきものか? と深く考えると
NOと言わざるをえません。では何が食べるべきなのか?何が食べるべきではないのか?
そんなことを考えていると、娘が目の前でポテトチップをおいしそうに
ほおばりだし娘の顔をみると、一瞬カンガルーに見えました。
『本来食べるべきもの』にについての答えはまたの機会にでも
コメントさせていただきたいと思います。
医療法人 添田歯科診療所 院長 添田義博